親子の成長


幼い子どもを二人連れて、タクシー待ちの列に並ぶお母さん。
下の子を抱っこひもで抱いて、片手にはベビーチェアを畳んで持っている。

上の子は、列が進むにつれて前に歩み出す母に手を伸ばして泣き叫ぶ。

お母さんは、振り返りはするものの子どものもとへ歩み寄ろうとはしない。
逆に「こっちに来て」と手を伸ばすだけだ。
たった一歩後戻りして、伸ばしたその手で抱き寄せてあげればいいのに・・。


そのうちに泣き声は大きさを増して、「抱っこ」とまで言い出した。
お母さんは、抱っこできないという。
「ねえ、お母さんを見て。抱っこできると思う?!
できるかどうか考えてから言って!」

見るに見かねて、列の前にいたおばさんが言う。
「先に乗りなさい。」
次に来るタクシーを先に譲るというのだ。
他にも何か、お母さんに話しているようだった。

それからお母さんは、やっと空いている方の腕で子どもを抱き寄せた。
途端にその子は泣きやんで、それどころか微笑みさえした。

・・ほら、そういうことなんだよ・・
ただ心もとなくて、寂しくて、ギュッてしてほしかっただけなんだ。


親の価値観で、親の常識で、子どもを叱っても伝わらない。
子どもが何を求めているのか、ちゃんと向き合って考えもしないで、
一方的に「私は今それどころじゃないの」と言っても、
伝わるわけがない。

もちろん、子どもの求めるものをすべて与えればいいと
言っているのではない。
ダメなものはダメだと言うべきだし、分別は教えるべきだ。

ただ、それがなぜダメなのかをきちんと教えられるか、
親の感情にまかせて「ダメ!」と切り捨ててしまうのか、
その違いについて考えてほしいと思う。

子どももひとりの人間で、人格がある。
それにきちんと向き合って、一緒に考えて、
一緒に成長していくのが親子であるはずだ。

そしてそれは、私たち支援者がクライエントと向き合うことと、
とてもよく似ている。


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  1. 2016/11/23(水) 14:20:07|
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