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天才


めずらしくミステリー小説を読んだ。

普段、自らミステリーを手に取ることはないけれど、
その本を読んだ人から聞いた話に、興味を持った。

その小説を書いたのは工学博士だといい、
登場人物も理系の天才たちだという。

私が好む、小説という情緒的な言葉の世界、感覚の世界を、
理系の秀才がつくるとどうなるのか・・・。
抱いたのは、そんな興味だったと思う。

情報工学の世界を舞台に繰り広げられる謎と、
その謎を解くために展開される理論。
その構成は確かにおもしろいものだった。

それよりもっとおもしろく、驚いたことがある。

『天才』と呼ばれる人間、もしくはそれに近い能力を持つ人間の、
直感的な部分、感覚的で人間くさい部分、
いわゆる「私が好む、情緒的な言葉の世界、感覚の世界」、
そういう部分がしっかり描かれていたことだ。


合理性や正確性、明確さだけを求めるならロボットでいい。
効率が悪くても、間違いがあっても、不明瞭な部分があっても、
それでも『感じる』ことができて『考える』ことができるのは、
人として生きている醍醐味だと思っている。

こんな考え方の持ち主である私が、
この小説の中に『感覚的で人間くさい部分』を見て、
感動すら覚えた。

どんなに合理性や正確性や明確さを持ち合わせた
技術力や知識力の高い人でも、
人間として、人間社会で生きるための問題を抱えている人は多い。

むしろそういう子たちばかりを日頃見ている私に、
天才とは、理論だけではない感覚的な部分も持ち合わせてこそ天才と呼ばれるのだと、
改めて思わせてくれるおもしろい小説だった。




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  1. 2015/01/07(水) 20:27:59|
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