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ある地元中小企業の話。
職場定着率が高く、平均勤続年数も長い。
採用担当者は、とても熱心で面倒見のよさそうな人だ。
昨年新卒で採用してもらった子にも気をかけてくれていて、
元気で頑張っていると聞いている。
そんな企業だから、個々の持つ『働く力』が活かされているのだろうと感じていた。
障害者雇用をしたことのないこの企業に、
法定雇用率があがるのに先立って相談を持ちかけたのは、
11月のことだった。
発達障害があるが、数理の分野に高い能力を発揮すると思われる男の子。
選考について検討してみてもらえないかと。
採用担当の彼女は、早速上司にかけあってくれた。
書類選考、適性試験、面接、配属先の職場見学と、
彼の負担にならないよう、日程に配慮しながら進めてくれた。
並行して、社内の受け入れ体制整備に動いてくれていた。
障害について知ること、経営陣に理解を求めること、
入社後の連絡・相談体制を整えること・・・。
本当に積極的に動き、判断に迷うときは相談してくれた。
選考過程の中で彼の能力や背景を知り、採用意欲はとても高くなっていた。
そして採用まで、最終の意思確認を残すのみというところまで進んだ。
しかし・・・
最終的に役員会は、受け入れ体制の準備が不足していると判断した。
既存の従業員に周知し理解を求めることは、
障害者雇用の中でも最も重要で、かつ最も難しいところだ。
常に採用担当の彼女がそばにいられればよいかもしれないが、
彼の能力を活かすための配属を考えれば、そうもいかない。
配属先の従業員の理解と協力がなければ、互いに不幸になる。
彼女と彼女の上司は、今回の結果について報告と説明をするために、
わざわざ私のところまで足を運んでくれた。
力不足で申し訳ないと言ってくれた。
彼の能力を高く評価し、人となりを受け入れてくれた。
そして、あろうことか私にまで、
今回、会社に考えさせる機会を与え、ここまで動かしたのはあなたの力だと、感謝を伝えてくれた。
このできごとは、
その学生にとっては、とても残念な結果ではあった。
けれど彼には、今回の評価を自信にしてほしいと思う。
自信を持って次の行動に移ってほしい。
私にとっては、
こんなに一所懸命に、誠実に、向き合ってくれる企業があるのだと、
熱意を持って取り組めばこれだけ信頼し合うことができるのだと、
再確認できたできごとだった。
そして企業にとっては、
今後ますます企業としての社会的責任を果たしていくために、
今回のできごとが大きなきっかけとなった。
彼女たちは約束してくれた。
必ず社内体制の整備を進め、従業員教育に取り組み、
彼のような子を採用できるようにしていくと。
障害や病気があっても、
彼らには働く権利もあるし、社会に参画する権利もある。
私たちには真似できない、高い能力を発揮することだってできる。
互いに理解しようと思って関わることができれば、
自分と違うものを排除しようとしなければ、
そのために、小さな努力を一人ひとりが積み上げれば、
たくさんの『働く力』が輝ける世の中になるはずだ。
キャリアコンサルタントとして、
そんな世の中をつくっていく一端を担いたいと思う。
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- 2018/03/21(水) 16:00:15|
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関東南部では、少しの積雪でも交通機関に影響が出る。
徐行運転の電車でやっと最寄駅にたどり着く。
改札の外は、バスを待つ長蛇の列。
待つこと30分、やっと来たバスには乗ることができなかった。
普段と違う状況に長い時間置かれていると、
その時間を共有する見知らぬ人と、同志のような気持ちになる。
声をかけ、労わる気持ちが生まれる。
1台めのバスに取り残された私たちは、
雪よけができる屋根の下から押し出されてしまった。
すぐ後ろにいた高校生の女の子が、傘をさそうとしていた。
前にも後ろにも隙間なく人がいるので、彼女は傘を諦めた。
背の高い私は、前の人がさす傘の上に自分の傘を広げることができる。
ひとつの傘に2人で入るのは、ごく自然で当然な状況だった。
「傘、さしましょうね。」女の子に声をかけた。
「ありがとうございます」と、彼女は笑顔になる。
寒くて、いつ来るとも知れないバスを待つ時間。
それでもなんとなく、ホッとするような、あったかいような。
そんな気持ちになれた、今年最初の雪の日。
雪がもたらしたのは、寒さや交通の混乱だけではなかった。
- 2018/01/22(月) 18:47:33|
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久しぶりに行ったコンサート。
テーマは『愛が全て』
このところ私が強く感じ、心揺さぶられている何か。
その核心に触れるようなテーマだった。
人を愛せない、信じられない、
自分の欲や権利ばかり主張する、そんな世の中。
これだけ満たされ、まだ他に何が欲しいというのか・・
そんな世の中でも、何度傷ついても、何度裏切られても、
誰かを、何かを、愛する気持ちは持ち続けてほしい。
そうしなければ、喜びも、悲しみも、感動も、何もない人生になってしまう。
そして彼は言った。
「北海道はこれから、長い雪の季節になる。
北海道の人間は、そんな淡い雪さえ愛おしいと思う」と。
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作詞・作曲:松山千春 『淡い雪』より(抜粋)
淡い淡い雪 この大地に眠れ
雪よ雪よ雪 優しくつつめ
人はそれぞれの 夢を胸にいだき
幾度も争い 疲れ果ててる
遠い遠い昔ではなく 今も今も続いている
悲しくて 悔しくて 人は何故に愚かな事ばかりを
罪も無きたくさんの 誰が命を奪うか
憎む気持ちさえ 恨む心さえも
この冬を越えて 消えるものなら
人は何を求めるべきか わずかばかりの時を与え
空しくて はかなくて 人は何故に愛を忘れているの
幾千のけがれ無き 新たな命はばたけ
- 2017/11/16(木) 14:11:40|
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殺伐とした世の中、人との関わりが煩わしい世の中。
信じて、裏切られて、辛い思いをするくらいなら、
最初から誰も信じたりしない方がいい。
それでも、世の中捨てたもんじゃないと思えるできごとがある。
思いが通じたと、心が通ったと、思える瞬間がある。
そんな瞬間を起こせるかどうかは、自分しだいだ。
人と関わることが苦手な若者たちに、そんな瞬間を感じてほしいと思う。
社会に出て行ったとき、その体験が、感覚が、彼らを助けてくれる。
面談を重ねてきた子が、ある日初めて親との関係性について口を開いた。
そのことで彼女の心は震え、涙を流した。
「こうなるから話すの嫌なんです」と言った。
でも・・。
そうなっていい。泣いていい。
そうやって気持ちを外に出してあげないと、抱えきれなくなってしまう。
できるだけ感情の波を起こさないように、他人に悟られないように、
たくさんガードして、なるべく遠巻きにものを見る。
そうすることで仕事がしやすくなったり学校生活が楽になったりする。
だけど時々、意識的に自分の感情の波を感じなきゃいけない。
感情をすべて殺してしまったら、どんなことに対しても、
楽しみや、喜びや、やりがいみたいなものを感じられなくなってしまう。
涙は、心に溜まったいろんなものを浄化してくれる。
涙と一緒にいろんな感情を外に出して、ひとつひとつ点検してみよう。
そしたらまた、楽しんだり、喜んだり、やりがいを見つけたり、
きっとできるから。
- 2017/11/10(金) 23:38:17|
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ジブリで『借り暮らしのアリエッティ』を手掛けた、米林監督。
新しいスタジオでの初作品は、『メアリと魔女の花』。
主人公は、何をやってもうまくできない、要領の悪い女の子。
見た目はチリチリの赤毛で、それもコンプレックス。
「私なんて、どうせ一生何やったってうまくいかないんだ。」
ある日、ひねくれ者の自分のせいで、男の子を危険に巻き込んでしまう。
自分のせいだと思っても、自分には何もできないと思う。
どうすれば助けられるかもわからない。
そんな彼女に、彼は言った。
「一緒に帰ろう」
その約束を胸に、彼女は決心する。
魔法の花の力を借りて、勇気を出して彼を助けに行く。
勇気を出して一歩踏み出したことで、ともだちができた。
もう「どうせ何もできない」なんて言わなくなった。
できるかどうかわからなくても、
「やってみる」ことが大事だと知った。
学生向けの就活講座では、よく『一歩前に踏み出す力』の話をする。
メアリと学生たちの姿が重なった。
そしてメアリは、米林監督にも一歩踏み出す勇気をくれたのだろう。
- 2017/09/24(日) 19:00:10|
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